2010年10月アーカイブ
デザイン図がなくてもモノを完成させることは可能です。
但し、他の人に説明しようとすれば何らかの絵図は必要となります。
それには大きく分けて2つのタイプがあります。
- 「イメージ図」自由な想像図。(不確定要素を含むあいまいでデザイン前のソフトな状態)
- 「デザイン図」作ることが裏打ちされた図。(あいまいなモノを含まないハードな状態)
この線引きがあいまいで同じように取り扱われているケースが多いようです。
一見、同じように見える図ですがその中身は全く違います、デザイン図は図に書き込めない作るための情報がたくさん含まれており全てを描き込めば図は文字や数字で埋め尽くされ図として見づらくなりため、割愛した状態で図にまとめます。
デザイン図とはまだあいまいな状態をデザインと言う作業を経て現実のモノにつなげるための図です。
デザインを始めた段階から作ることはすでにスタートしていてあいまいなモノの入る余地のないハードなモノなのです。
キッチンと今の間に格子の衝立を作りました。
仕切るのですが見えるようにとのご注文でした。
この衝立の見えない特徴は天井、床はネジ釘は使わず突っ張るだけでガッチリ立っていることです。
取外し、移動も簡単
私はオーダー家具の見積りの依頼があると一番初めにすることはデザインの作業です。
「デザインの作業」仮想制作
デザインの作業に入ると、一度、頭の中で木を切ったり、削ったり、ジョイントしたりと実際に作るときの作業と同じ事を仮想空間の中で仮制作し、一旦完成させます。
最初はピントがあいませんが、経験を詰めばテレビで見るように細部までハッキリ見えるようになります。
その後、同じく仮想空間の中でゆすったり、たたいたり、剛性や使用に対する問題点を想像力でテストし最終にデザイン図とし描き出します。
(この作業を私は下書きDessin+ingデザインと呼んでいます)
完成までの流れ、イメージ⇒デザイン(仮想作業)⇒デザイン図⇒設計図⇒制作⇒完成となります。
このようなデザイン(仮想制作)は実際に作った経験のある者でないとなかなかできません。
デザイン図と言えるものはこの「デザインの作業」を経たものだけです。
そして、このデザイン図を描ける者をデザイナーと呼びます。
西欧、私の知る限りのフィンランドなどでは制作現場におけるこのデザイナー権限、地位は非常に大きく、ある意味会社の社長より、ずっと上に有ります。
この土壌が良いデザイナーを育むようです。
横の側板を柱状で支え扉部分を箱(BOX)にしてみました。
閉ざされる側面をオープンにすることで空間を圧迫しないデザインに仕上っています。
この柱を天井まで伸ばせば空間を生かした壁面キャビネットが出来ます。
階段としても強度を備えています。
このような場合は力のかかり方に注意が必要です。
一見本棚と同じように見えますが内部の構造は大きく異なるものです。
こうした構造的な計算もデザインの大事な要素の一つです。
オーダー家具の見積りには、その前にお客さん自信でやらなければならない作業があります。
「何を希望しているのか具体的することです。」(考える作業)
次にそれを作る側にうまく伝えなければなりません、イメージイラストが簡単で最も分かりやすと思います。
希望するものが具体的になっている方の場合、メールなど文章で上手く説明される方は、まれにおられますが文章力がかなり必要です。
とにかくどんな方法であれ作り手に具体的なイメージが伝わった時、初めて見積りが可能となります。
考えても具体的にならない場合
- 作る事ができる人に相談
- デザインができる人にデザインを考えてもらう。
(設置場所のサイズとだいたいの要望を伝え後は任せる、但し、この場合は発注が前提となるため大まかな価格を前もって聞いておく必要があります。)
オーダーメイド家具の制作をしていると見積り価格について聞かれますが
お客さん
「キッチンの食器棚を作ってもらったら、値段いくらぐらい?」
そこで私は
「サイズや扉や引出しなどは?」と聞けば
お客さん
「だいたいでいいから、値段だけ教えて」
このような聞かれ方で答えに詰まってしまうことがよくあります。(案外多い)
先に価格が知りたいのは理解できますが・・・、これでは価格は出せません。
おまかせデザインでも少なくともサイズは必須です、ましてリクエストがある場合、作る内容が解らない状況では誰でも無責任な見積り価格は出せないと思います。
もし出せるとしたらそれはいい加減な価格で注意が必要でしょう。
マンションの天井等に不規則な梁がある場合いがあります。
このようなケースは状況を詳しく伝えていただければうまくかわしてピッタリの本棚を作る事が可能です。
このケースは当方で計測に伺いましたが、現場写真や詳細なサイズをいただければ遠方でも製作可能です。
以前、北欧Finlandの工場で私の製品をすべて制作していました。
その頃、出会ったフィンランドの学生のデザイナーについて少し話します。
15、6年前のある日の事、工場の事務所にいくと若い学生が私を待っていました、木工大学の5年生で卒業間近とのことで、聞くと私にデザインを見てもらいたいとのことで10枚程度の手描きのデザインスケッチを持参していました。
それはシェルフをデザインしたものでスケッチは上手で解りやすく1,2目を引くものがありましたが、私が驚いた事は10枚すべて明日にでも工場で作れるものでした。
後で聞いた話ですが私が来る前に1度工場に見学に来ていたそうで、サボンリンナ市からの要請で来ているらしく私がそのうちのどれかを採用すれば市から大学資金援助が出るとのことらしいことが後でわかりました。
フィンランドでは卒業間近の学生にメーカーに出向きこうした「腕試し」をよくさせるそうです。
そこで彼に聞きました。
「一度工場を見ただけ木工機器の加工限界や性能がわかるのか?」と聞いたら
「はい、わかります。大学では1,2年は機械整備から始まってひたすら木工作業の毎日で3年から職人コース、工場長コース、デザイナーコースに別れ勉強するため機械や技術的な事はだいたい分かっています」
この大学では一般工場の下請けや制作依頼をこなし一般の木工所ように仕事をうけて学校の運営資金に当てているそうです。
私はこの事を聞いて木工の国Finlandではデザインに関する考え方が日本とでは全く違うことにカルチャーショックを強く受けました。
まだ若く未熟とは言えこの学生こそデザイナーといえると感じ、この考えこそ正しいデザインでありデザイナーだと思うよになりました。
このショックはその後の私のデザインに関する考え方に今も大きく影響を与え続けています。
デザイン図を3D(立体)か2D(平面)で表現するかは状況によりますが私は2Dを使うようにしています。
3DCADを手にしたときはおもしろがってパソコンで立体図をよく作っていいましたが、本当に必要とするケースはほんのわずかでほとんどの場面では2Dのほうが使い道が多いようです。
3Dはイメージを伝えるのにはいいのですが細部の確認には2D(平面図)のほうが解りやすいようです。
まだデザインに入る前のプレゼンには3Dもいいのですがデザイン以降のデザイン図などは2Dでないとわかりずらいと思います。
また少しなれれば平面図を見れば頭の中で3D化することは出来ますのでこのほうがスピーディーのようです。
3DのCADなんかの出現で建築業界などでは3D化されたデザイン図を多用されているようですがCADを扱える人が必ずしもデザインのできる人とは限らず、いざ作るとなれば制作面とのすり合わせにかえってい時間が掛かっていしまう事が多いと思います。
建築は作るものが高額なためそんな事も許されるのしょうがやはり無駄で有ることには変わりないと思います。
仮に全てできる一人が存在すればその人間の指示のもと手分けして作れば一番合理的だと思ういます。
それをできる人こそデザイナーと言えるでしょう。
一般的にデザインと言う言葉からはビジョアル的なセンスを感じさせるモノを連想されがちですが私はこれをデザインの誤解と感じています。
そもそもデザインとは作ることそのもののことです。(形状はその中の一部にすぎません)
その言葉には作ることに関するあらゆる要素が組み込まれています。
- 技術
- 知識
- 形
例えば家具が作られる過程では使いこなさなければならない道具、木材の知識、人間工学・・など様々なことに裏打ちされた形状がデザイン図となります。
したがってデザインには
- 使いやすく機能的なもの
- 剛性を重視してもの
- 素材を重視したもの
- ハイセンスを重視したもの
様々なタイプのデザインがあります。
良いデザインをするには習得した勉強や経験、そしてそれを生かした知恵がデザイナーの差となります。
良い形だけを見て「デザインがいい」と言うことがありますが、デザインを形の角度だけで判断している誤解から出る言葉です。
デザインの作業は電卓片手に考える時間も多く、けっこう地味で骨の折れるものです。
けっして安易な思いつきや人の目を引くような気をテッラた物ではありません。
オーダーメイドの家具を作っていて思うのですが、この辺を誤解している人が多いようで話がすれ違うことが多く、このため希望の物を完成させるまで必要以上時間がかかり結果的に無駄にコストがかかることがあります。
これらはすべてデザインと言う言葉の誤解から来ていると感じています。
デザインを辞書で引くと(形状、意匠)などとありますがこれは最初に翻訳した人の間違いと思います。
デザインとは発想からが完成に到るまでの全てを意味していています。
Designを正しく理解しましょう。 (日本語では訳せない言葉です)
行ってきました。
大阪インテックスで開かれたリビング&デザイン展。
正直ショボかった。
住まいの「リノベーション」???
住まいを「リノる」????
新しい言葉を使ったら何か新しいように感じるのな????
もうチョッと中身を考えなあかんでー
なんか勘違いしてない???
駐車場代¥1,000も取られたのに・・「どないしてくれんねん」
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記述者ー三谷正昭
1953年3月大阪生まれ
歩くこと、サイクリング、 仕事
壁面にピッタリの本棚作り